泣きたい夜には…~Hitomi~




慎吾との時間はほんのわずかなのに、


私の中で慎吾の存在がこんなにも大きくなっているなんて……


「重症だな、私」


あれから何度も何度も考えて、


考えたけれど、


答えは出ることはなくて……


「どうした?何かあったのか?」


思い悩んでいることが態度に出てしまっているようで、慎吾が心配そうに私の顔を覗き込む回数が増えてきた。


「ううん、何でもない。夕飯の買い物に行こうか?」


慎吾に悟られないように明るく振る舞ってみせる。


食欲の秋、


美味しいものを食べて答えを見つけてしまおう。


「よしっ!美味しい夕飯作るぞ!!!!」


気合を入れ、慎吾とスーパーへと繰り出した。


が、


「栗ご飯もいいかなぁ……でも、殻むくのが面倒だし……サンマが安いけど、この間食べたばっかりだしなぁ……」


いつもは食材を見ているとメニューがパッと浮かんで、慎吾が驚いてしまうくらいスピーディーに買い物ができるのに。


ダメだ……


今日は全く浮かんで来ない。



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