泣きたい夜には…~Hitomi~




「最先端の小児医療をその目で見て来ないか」


行きたい。


行って最先端の小児医療をこの目で見て、あらゆることを学び、技術を身に着けたい。


でも……


行くとなれば1ヶ月やそこらでは済むわけがない。


「あの……期間は、どのくらい、ですか?」


わかっているのに、それを確認するように教授に聞いた。


「2年だ。その間キミが抜ける穴を埋めるのは大変だ。だが、優秀な人材をさらに優秀に育てるためには、それなりの投資とリスクが必要なんだよ」


私の中で2年という言葉が重く圧し掛かる。


「どうだ?行ってみないか?」


こんなチャンスはそうそうないことはわかる。


わかるけど……


「少し考えさせていただきたいのですが」


戸惑う私に教授はうんうんと頷くと、


「いきなり言われても、即答は難しいね?焦らなくてもいいいからよく考えなさい。

これから先、キミにとって必ずプラスになる話だ、ご家族とも相談して納得のいく答えを出して欲しい」


諭すように言った。



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