今までそんなこと言われたことなかったのに。


「失礼します」


戸惑いながら言われるままに腰を下ろすと、


えっ……


今度は秘書の女性がにこやかな笑みを浮かべ、ローテーブルにお茶を置いた。


今までこんな扱いされたことはありませんでしたが……。


小野塚先生の言ったとおり、飲み会のお誘いではなさそうだ。


だとしたら、何?


戦力外通告で他科に移れとか?


嫌だよ、特に内科は。


あ、坂田教授がいるからそれはないか。


なんて、思いを巡らせていると


「浅倉先生は3年目だったね」


上杉教授の言葉に、


「はい。4月より後期研修に入りました」


教授は大きく頷いて、


「キミの仕事ぶりは、指導医の小野塚先生や看護師長からも聞いている。意欲的で研究熱心だとね。患者の親からも評判がいいそうだね?」


教授の褒め殺しともとれる言葉の次に来るものに不安を感じた。


絶対何かある。


私にとって良くないことが。


そう直感した。



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