「この度は私どもの大切なお客様を助けていただきましてありがとうございました。

おかげさまで、快方に向かわれているとのことです。

お客様方が本日、ご宿泊されていなかったら当旅館の信頼を失うところでした。本当にありがとうございました。

心ばかりですが、当旅館最高級の料理をご用意させていただきました。是非ともご堪能ください」


女将はもう一度頭を下げ、部屋を後にした。


私と慎吾は顔を見合わせた。


「「いいのかな…?」」


思わずハモる。


「私がしたことなんて医師として当然のことなのに」


小さな行為が大きくなって返ってくる。


まるでそれはわらしべ長者のようで……


「女将の感謝の気持ち、ありがたくいただいておこう」


と、いうわけで、


「いっただっきまーす!」」


お言葉に甘え、食べきれないくらいの豪華料理を堪能することにした。



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