お母さんは穏やかな表情を私に向けて、
「ただし、大学は家から通えるところにすること。もしも、中退したり、やっぱり自分にはできないから医師を辞めるとなったらお父さんの言うことに従うこと。それでいいかしら?」
その条件に私は頷いた。
「あなたもそれでいいわよね?」
お父さんも渋々頷いた。
この瞬間、私は自由を勝ち取った。
「ひとみ、よく頑張ったな!」
お兄ちゃんの声が聞こえたような気がした。
お兄ちゃん、
私頑張るよ!
お兄ちゃんの分まで頑張って立派なお医者さんになるから。
「で、現在は小児科医として頑張っているという感じかな」
話を終え、ホッと一息吐く。
慎吾が聞きたいと言ったから話してしまったけれど、こんな重い話されたら引くよね?普通は。
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