泣きたい夜には…~Hitomi~




「志望学部を薬学部から医学部に変更します」


進路担当の先生に言った。


これが私の出した結論。


私が医者になればいい。


そうすれば結婚相手は自分の好きな相手を選ぶことができる。


私が医者になれば全てが丸く収まる。


ベストな選択だと思った。


「お前に医者は無理だ!医者はな、お前みたいな温室育ちの娘ができるほど甘くはないんだ!!!!」


予想どおり、お父さんは猛反対。


そもそも温室育ちにしたのはどこのどなた?


そうツッコミたい気持ちを抑えて、


「娘婿とはいえ、他人は他人よ。だったら、私が医者になる!私が病院継ぐから!!!!」


何度も何度も説得をした。


後にも先にもこれが私にとって初めての自己主張だった。


その後も話し合いは平行線を辿るばかりで、


何度目かの話し合いの時、


「あなた、そこまで言うならやらせてみたらどうかしら?」


今まで無言を貫いていたお母さんが口を開いた。



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