心臓が大きく動いた後、背中を冷たいものが滝のように流れ落ちていく。
お兄ちゃんが亡くなって病院を継ぐのは自分しかいないということはわかっていた。
だから継ぐことには全く抵抗はなかった。
お父さんは私の幸せのためなんて言っているけれど、私は病院を継ぐための将棋の駒でしかないのだ。
お父さん達に気づかれないように部屋に戻った。
今まではそういうものだと受け入れていたけれど、
今の気持ちを一言で表すなら、
抵抗
ううん、
拒絶
私には受け入れることはできない。
私の人生を私以外の人間に決められたくはない。
「ひとみは自由でいいんだ。ひとみには好きな仕事をして、本当に好きな人と結婚して欲しい」
お兄ちゃんがそう望んだように、私の人生は私が決める。
そのためにはどうしたらいいのか、色々考えた。
何日も考えに考えて結論を出した。
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