お兄ちゃんは、高校生の無免許運転のバイクにはねられて亡くなった。
頭と全身を強く打ち即死だった。
医師としての第一歩を踏むことなくお兄ちゃんは逝ってしまった。
深い悲しみと虚無感。
お兄ちゃんの存在の大きさに、どれほど大切な人だったかを痛いほど思い知らされた。
葬儀が終わっても涙は涸れることはなく、
朝も
昼も
夜も
泣き続けた。
両親の悲しみは私の比じゃなかった。
お兄ちゃんの死をきっかけにお父さんは仕事に没頭し、どんどん病院を大きくしていった。
お母さんは私に執着し、あらゆることに干渉するようになった。
そんなある晩のこと、
勉強をしていて、喉の渇きを覚えたのでお茶でも淹れようかと2階の自室からリビングに下りてくると、お父さんとお母さんの話し声が聞こえた。
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