「それで、政孝はっ?どうなんだ!!!?」
えっ……
何でお兄ちゃんの名前が出てくるの?
お兄ちゃんに何があったの?
急激に鼓動は早くなり、嫌な予感が全身を支配していく。
お母さんも不安な表情でお父さんを見つめていた。
「わかった、すぐ行く」
お父さんは静かに言うと、電話を切った。
「あなた、政孝に何かあったんですか?」
お母さんが項垂れるお父さんに、声を振り絞って聞いた。
お父さんは視線を宙に泳がせたままポツリと言った。
「政孝が…………………………死んだ」
えっ……
「お兄ちゃんが?」
お兄ちゃんが…………
死んだ……?
さっきまで幸せの絶頂にあった我が家は一瞬にして失意と絶望のどん底に突き落とされた。
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