泣きたい夜には…~Hitomi~




「いくら病院のためでも俺はひとみを医者の嫁にしようとは思わない。ひとみは自由でいいんだ。ひとみには好きな仕事をして本当に好きな人と結婚して欲しい、それが俺の願いだ」


笑顔のお兄ちゃんはどんな時でも私の味方だった。


お父さん達だって私の幸せを考えているということはわかる。


でも、それが私の幸せなのかはわからない。


結局お兄ちゃんの一声で料理教室は辞めた。


お母さんは不満だったみたいだけれど、私には小さな自由を勝ち取ったように思えてとても嬉しかった。


このことをきっかけに人から与えられた人生ではなく、自分で切り拓く人生というものを考えるようになった。


自分の好きなことは何か?


どんなことに興味があるのか?


やりたいことは何か?


自分の内面に語りかけることは大変であり、楽しくもあった。



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