小野塚先生がここにいたら、
「浅倉マジック炸裂しちゃいなさ~い!!!!」
なんて言うに違いない。
「戻ってきて!奥さんがあなたを待っているわよ!」
胸を押す手に力が入る。
やがて、充電完了のメッセージが流れ、
「「離れてください!」」
慎吾の声とシンクロした。
ボタンを押し、通電を行った後、老人の瞼が微かに動くのが見えた。
そして、
『心拍が再開されました』
そう音声メッセージが流れた。
「よし!心拍再開!」
自然と口をから出た言葉に、野次馬から拍手と歓声が上がった。
ピーポーピーポー……
救急車がようやく到着した。
救急隊員に状況を説明し、老人は奥さんに付き添われ、病院に搬送された。
「はぁー、良かった」
慎吾はホッとしたのか、力が抜けてその場にしゃがみ込んでしまった。
どうやら腰が抜けた模様……。
.


