「慎吾!」
声をかけると、慎吾はホッとした表情を見せた。
慎吾はこれまでの経緯を簡潔ながらも的確に説明してくれたので状況はしっかり把握した。
「わかりますか!!!?」
老人に声をかけてみたが、反応はない。
頸動脈に指を当てるも、脈は触れない。
CPA(心肺停止状態)
全てをトータルすると、慎吾の読みどおり、私の診断も、
「うん、心筋梗塞だね。ナイス判断!後は私に任せて!」
マウストゥマウスで息を吹き込むと、
慎吾に代わって胸骨圧迫を施した。
人工呼吸と胸骨圧迫を何度か繰り返していると、背後でパタパタと草履の音が近づいてきた。
「AEDをお持ちしました!!!!」
髪を振り乱しながら女将と思われる初老の女性がAEDを持ってきた。
慎吾はそれを受け取り、すぐに電源を入れた。
今日ほど慎吾の存在を頼もしいと感じたことはない。
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