「そうだ!大浴場に行こっ!せっかくだから色々な温泉にも入りたいし」


ガックリ肩を落とす慎吾を尻目に風呂に行く支度を始める。


「慎吾、後で……ね」


笑みを浮かべながら「ごめんね、慎吾」と、心の中で謝ると、頬にキスをして足早に大浴場へと向かった。


大浴場は夏休みということもあり、家族連れで賑わっていた。


一通りのお風呂を回って1時間くらいしたら部屋に戻ろう。


夜は長いんだよ、慎吾。


花火だってこれからなんだし、


慌てない慌てない。


お楽しみは最後までとっておかないと。


服を脱ぎ、大浴場へと足を向けたその時、


バタバタバタッ!


ものすごい勢いで仲居さんが飛び込んで来て、


「こちらに浅倉ひとみ様はいらっしゃいますか!!!?」


大浴場に緊迫した声が響き渡った。


しかも、私の名前が……。


えっ……


わ、私…!!!?



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