泣きたい夜には…~Hitomi~




その後、これといったトラブルもなく、業務を順調にこなし、


「明日から1週間夏休みを取らせていただきますのでよろしくお願いします」


バッグを持ち、医局を後にしようとすると、


RRRRR……


内線が鳴った。


「はい、小児科医局」


倉橋先生が出て、


「はい、状況は?」


厳しい表情でメモをとる先生の様子にただならぬ空気を感じた。


帰るに帰れず、様子を伺っていると、


「わかりました。では、小児科からそちらに医師1名を行かせますのでよろしくお願いします」


倉橋先生は電話を切ると、私を見た。


「浅倉、時間外で悪いが、大至急分娩室行ってくれないか?

35週の双子の妊婦が早期胎盤剥離でこれから帝王切開で出産する。もしかしたら新生児仮死という可能性もある。すぐ行け!!!!」


やっぱりね。


電話が鳴った時点で私だと直感したけれど。



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