事故を起こさなかったのが不思議なくらいだ。


まさか、悟さんに二股をかけられていたなんて。


そんなことをする人だとは思わなかった。


信じていたのに。


「前期研修が終わったら結婚しよう」


あの言葉は嘘だったの?


彼の裏切りに、こみ上げてくる怒りと絶望。


私の何がいけなかったのだろう。


二股かけられる程度の信頼関係しか作ることができなかった私にも責任があるのということなの?


「あぁ、もうっ!!!!」


苛立ちから頭をかきむしると、頬を濡らす涙を拳で乱暴に拭った。


今ここでグダグダ考えても結果は同じ。


今夜は頭を空っぽにして眠ってしまおう。


冷静にならなきゃ。


そう思い、駐車場へと入って行くと、


「……ッ!!!!」


隣に停めてある車のすぐ脇に誰かが倒れていた。


スーツ姿の男性。


彼だ!!!!



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