絹糸!? なんで!?


なんで小鳥の姿になっちゃったの!?


実は絹糸って、神獣以外の生き物にも変身できるの!?



「すごい便利じゃん! なんで今までもったいぶって秘密にしてたの!?」


「秘密にしていたわけでもないし、これは変身でもない。憑依じゃ」


「ひょうい? ウグイスの体に乗り移ってるってこと?」


「鳴き方のヘタなウグイスがおったろう? あれの体を借りておる」


「・・・ああ、門川の庭にいた、疑問形で鳴いてた若いウグイス」


「得手な術ではないがな。本来の我の本質とは異なる技じゃ」



ふうん・・・。でも、じゃあなんだってそんな真似を?


もうちょっと普通に訪問するわけにはいかなかったわけ?



「うむ。少々、こちらも事情が複雑になってきたんじゃよ」


そう言ってウグイス姿の絹糸がバサバサと枝から離れ、納屋の中へと飛び込んだ。



「小娘、早く戸を閉めよ。人に聞かれるとまずい」


納屋の床にチョコンと降りた絹糸が、小鳥特有の小首を傾げるしぐさであたしを見上げる。


すると、さすが血の絆のなせるワザ。


すぐにウグイスを絹糸と見破った子猫ちゃんが、大喜びで飛び付いた。



「にー! にー! にー!」


「こ、これ我が子よ! やめい!」


「子猫ちゃん! 無理無理! 今の絹糸には命にかかわるから、こらえて!」