悠斗『もう一度。』

文乃『悠斗』

『悠斗さん』と言うとしたけ言えなかった。

だって主任にキスされていたから。

突然の事に驚いていると私の唇から離れた主任の唇はゆっくりと私の耳元に近づいて

悠斗『悠斗がいいな。』

と、甘えた声で言った。

文乃『悠斗、大好きだよ。』

そう言うと頬を赤く染めた悠斗が、私を抱きしめながらつぶやいた。

悠斗『不意打ちは卑怯だろ。』

文乃『なんて言ったの?』

よく聞こえなくて質問してみたけど

悠斗『ナイショ』

と言って教えてくれなかった。

そんな風にいつまでも笑い合っていられると思ってた。

でも、この幸せは嵐の前の静けさに過ぎなかつたのだと知るのは、もう少し先の話。