もの干し竿に掛けられた真っ白なシーツが雨に打たれ、ピタリと四ツ角を揃え一枚になり、端から雨粒を滴らせている。


「あー、洗濯し直しかぁ…。」


ぼやきながら洗濯バサミを外す。


と、ふと空に目をやると遠方は既に雨が上がり、大きな虹が空いっぱいに架かっていた。


赤、橙、黄…指先で数えられる程見事に7色で描かれたグラデーション。


びしょ濡れのシーツを抱えたまま、暫し心を奪われた。


その虹が消えゆく様を見届けた頃、すっかり頭上の雨雲も姿を隠していた。


「綺麗だったなぁ。」


今度はこの事を手紙に書いて送ろうか。

なんて考える雨の後。


「ふふ。」



濡れた髪をかきあげて笑った。