「なつ」 駅に到着したところで、これまた久しぶりにしんちゃんに声をかけられた。 ……しんちゃん。 ちょっと焼けた? ほんのり日焼けしてるのを見て、胸の奥が少しだけキュンとなった。 「久しぶり。桐谷も」 小走りでこっちにやって来たしんちゃんは、あたしと爽の顔を交互に見てニッコリ笑って見せた。 大好きなしんちゃんの笑顔。 なんだか複雑な気分。 美雨ともあれ以来連絡を取っていない。 結局まだ、なーんも前に進んでなんかいない。