ほころび

私の顔が見たいと言って、拓也は私を軽く持ち上げる
積み重ねた箱を椅子にして私を座らせる。

言葉は交わされずにしばらく無言でキスをする。
拓也の腕に挟まれて座っている私の体が、熱を帯びる。


「拓也、」

彼はしゃがんで私の膝や太ももにキスを落としながら、
「なに、真由?」と答える。

私の太ももに口付けながら喋るから、甘い声がくぐもって聞こえる。

「毎回言ってるけど彼氏とは別れないからね」

数秒の間、拓也は何も言わない。

「毎回言ってるけど、」
「わかってるから大丈夫だよ」

聞こえなかったのかと思ってまた言おうとしたら、拓也は笑顔を私に向ける。


拓也の笑顔はいつも本音が見えない、光の様な笑顔だ。
本当に笑ってるのか、本当は辛いのかわからないけど
毎回その笑顔に胸が締め付けられた。

拓也の手は私の太ももや腰をしっかりと掴んでて、キスは更に脚の付け根へと近付く。
薄暗い中で私は必死に拓也を見つめる。