10分後─────。
ガラッ。
教室のドアが、開く。
「杏!」
え………。
どうして………?
「俺ら、付き合うことになったよ!」
そこには、嬉しそうな瀬南と顔を真っ赤にさせた夕夏がいた。
「そ、そうなんだ!おめでとう!」
どうして?瀬南の事、恋愛感情として見てなかったんでしょ?
「杏、ごめんね!実は……瀬南君の事好きだったんだ。」
え……。嘘………。
「え、そうだったのー!?相談してくれたら良かったのに!」
私は、無理やり笑顔を作る。
まだ、泣いちゃ駄目。
泣いたら全てが台無し。
「全部、杏のおかげだな!ありがとな!杏!」
「ど、どういたしまして!…邪魔者は退散するよ!じゃあね!」
私は、鞄を持ち急いで教室を出た。
そして、屋上へ行く。
…開いてないと思うけど……。
私の頬には、生暖かい物が流れている。