「……良いよ……」
ヘラッと笑った私。
顔がひきつっていたと思う。
どうして……私じゃ無いのだろう。
良いよとは、言ったものの夕夏に嫉妬している私。
漫画や小説の主人公みたいに私は、そんなにお人好しで優しくない。
好きな人を譲るくらい心が広くないんだ。
だからね?
今も、傷ついてる。
嫉妬している。
悲しんでいる。
「……ず……んず……杏!」
「えっ、何?」
「大丈夫?さっきから黙っていたけど…」
夕夏が、心配そうに顔をのぞき込んできた。
「大丈夫だよっ。考え事してただけ!」
私は、苦笑いで答える。
「……あんま、無理すんなよ。お前はすぐため込むんだから。」
瀬南が、私の頭を撫でる。
……そういう事、しないでよ……。
期待……しちゃうじゃん。