『未月ーーっ!』 五月蝿い羽柴の声が耳に響く。 『あ、はーいっ!』 松川は小走りで違う所へ行ってしまう。 …………どんなに松川が好きでも、 どんなに目があっても、 拓真のことが好きなら意味がない。 何年片想いしたって、 向こうは俺のこと好きじゃない。 結局は全て、無駄になってしまう。 そんなことを、 俺は松川の後ろ姿を見てそう思った。