「ねぇお母様、お父様はいつ帰ってくるの?」 また聞かれる。 「お父様はお仕事に行っているのよ。だから、帰ってきたら温かく迎えてあげましょうね。」 私は息子の頭を撫でながら答える。 「それ、この間も聞いたよ。そんなに長いお仕事なの?」 好奇心旺盛な年頃の息子は、少し悲しそうな顔をする。 「戦争で死んじゃったんじゃないの?」 私ははっとした。 「死んでないよ。どこかで生きてるわ。そう、信じて。」 きっと、生きてるわ。