「───はあっ、はあっ」
人から突き刺さる視線が痛い。慌てて履いてきたスニーカーはいつの間にか紐がとれていたのか、ものすごく走りにくかった。そのまま走ってきたから、薄手のカーディガンしか羽織ってないせいで、突き刺すような寒さが、じわじわと手先から私を凍えさせる。
でも、足は止まらなかった。
探す。彼のいる場所を、探す。
人をかき分けて、突き進むものの、見えるのは彼に似た、違う誰か。
確か、このあたりにいるはずなのに。
待ち合わせの人でごった返す、駅前の道はキラキラとまぶしいほどにイルミネーションで着飾れていた。
時計の針を探し、時刻を見てみる。もう9時15分。すうっと、血の気が引いていく。
……ああ、もしかしたら、もうここにはいないのかもしれない。
どん、と誰かと肩がぶつかった。
私はそのままよろけてしまい、その場所にへたり込む。
どこかの店から聞こえる、クリスマスソング、楽しそうに話すカップルたちの笑い声、イルミネーションに感嘆の声が、ごちゃ混ぜになって、ぐるぐる頭の中を回っていく。
一つだけ分かるのは、もう、遅かったってこと。
何もかも、手遅れだったってこと。
「……あーあ」
ダメだった、かあ。
今さら、好きでした、なんて言えるわけ、もともとなかったのに。
こんなに、遠回りばかりしてきたんだ。恭ちゃんにだって、ひまりちゃんにだって、佐藤くんにだって、いっぱいいっぱい迷惑を掛けてしまった。
なら、……しょうがない。しょうが、ない、よ。



