佐藤くんは甘くない


「て、出してください」

「なに」

「なあに、クリスマスプレゼント、ってやつですよ」

「ふうん?」


不思議そうに首を傾けながら、佐藤くんは差し出された私の手を添えるように、下に手を持ってきてくれた。ずっと握っていたせいで、すっかり熱くなってしまったそれを、私はするりと手放して、佐藤くんの手のひらに乗せる。


そして、ゆっくり微笑んだ。

「これ、返しておこうと思ってたんで」

「なにを、」


佐藤くんは、さっきまで不思議そうな顔をしていたのに、その手に乗せられたものを見ると、目を見開き、息を止める。


それは、いつか佐藤くんにもらった指輪だった。


ずっと、つけることも出来ずにしまいこみ続けてきた。だって、これは私がもらっていいものじゃない。


卑怯で、ごめんね。

ひまりちゃんはあの時、確かにそういった。


でもね。

でもね。ひまりちゃん、そんなことないよ。

私のほうが、もっと卑怯だ。


だって、私はこの期に及んで、やっぱり、選ぶことは、できなかった。


「ねえ、佐藤くん」


「……」



「───これからも、ずっと友達でいてくださいね」



だって、私は弱虫だから。