佐藤くんは甘くない


クリスマス会は、毎年盛大に行われる。


まるで宝石箱をひっくり返したような、そんな風景が広がっていた。出店は生徒たちがごった返していて、どうやら大反響のようだ。私はほうっと、小さく白い息を吐きながら、澄み切った夜空を見上げる。


気を紛らわせるのように、ポケットに手を突っ込んで、その奥にしまいこまれていたソレの、冷たさに目を細める。


もう片方のポケットに入れておいたスマホの電源ボタンを押して、時刻を確認する。もう、そろそろだろう。ちらり、と横目に彼の姿を確認しつつ、もしかしたら来ないかもな、と少しだけ情けなくなってしまったその時だった。


「───結城」

懐かしい、声がする。
それは、いつも通りのぶっきらぼうで、でも優しい、そんな声だった。私はゆっくりと振り返り、いつも通りに笑って見せる。


「こんばんは、佐藤くん」

「……うん」

「寒いっすねぇ」

「……うん」


二人の距離は、ぎこちない。隣を見ると、佐藤くんは目の前の大きなツリーに目が行っていた。私もつられて、見上げる。

ほう、と息をはく。


緑、青、黄色、赤、いろんな光が強くなったり、弱くなったりを繰り返しながら、瞬いていく。ああ、綺麗だなぁ。こんなきれいだったっけ。さっき見たときはそんなんでもなかった気がする。………………理由は、気付かないふりをした。


「あの、佐藤くん」

「なに」

「突然呼び出して、スイマセンねぇ」

「何そのちっとも気持ちのこもってない謝罪」

「いやぁ、今日を逃したらきっと、返せないかなぁって思って」

「返せないって、何が」

「佐藤くん、佐藤くん」

「……なに」


ちょいちょい、と佐藤くんを手招きした。


佐藤くんは怪訝そうに顔を顰めて、私のほうを向く。私はポケットに突っ込んでいた手を、それを握りしめながら引っこ抜く。