「ちゃんと、結城の言葉が、聞きたい」
「……わ、た……し、は」
声が、勝手に震える。
私は、佐藤くんが───そうやって、続けざまに言おうとした言葉が、紡がれることは、なかった。
それは、ほとんど呪いのように、私の頭に浮かび上がってきたからだ。
ひまりちゃんの優しそうに笑う、その微笑みを。
こはるちゃん、と私を信頼してくれる安心しきった声が、頭の中に鳴り響く。
……何を、言おうとしてるんだ私は。
……何を、言おうとしてるんだ私は。
ぎゅう、と手を握りしめ、恐怖と後悔と罪悪感に溺れそうになる自分を叱咤するようにスカート越しに自分の太腿にその拳を軽く叩きつけた。
偽れ。
自分を、偽れ。
こうするのが、一番、みんなが幸せでいられるんだから。
「───ひっかかり、ましたね」
私の口から洩れたその声は、びっくりするほどに乾いていた。無理やりに作った笑顔すら、たぶん、今までの中で一番ひどいものだった。
それでも私は自分を取り繕った。
だって、それが一番、いい選択だから。
「佐藤くんをびっくりさせてやろうって、渾身の演技をしてやった甲斐が、ありました」
「……」
ああ、痛いなぁ。
痛い、痛いなぁ。
どうしてこんなに、痛いんだろうなぁ。



