佐藤くんは甘くない



「開けろやオラ!」

「誰がっ開けるもんか!」

「何で私を避けるのさ!」

「避けてない!」

「避けてる!」

「避けてない!」

「避けてる!」

「避けてない!」

「避けてない! あ、間違えたっ、もう……なんなんすか!」


頑として、佐藤くんはドアを開けようとはしてくれなかった。ここまで完全に拒絶されると、悲しさを通り越してもはや怒りが湧いてくる。理由すら話してくれないのなら、私がここでどれほど佐藤くんを呼びかけようとも、開くことはないだろう。



「……分かりましたよ。佐藤くんが、そういうのなら、私もそう思うことにします」


指が真っ白になるほど、力を入れていた手をドアからそっと離し、私は数歩後ろに下がる。


「ただ、訳もなく避けられるのは、寂しいですよ」

「……」


曇りガラスの向こうで、佐藤くんが分かりやく震えた。がたっと、無理に押していたドアが少しだけ緩くなる。


「……佐藤くんの気持ちの整理がついたら、ちゃんと話してくださいね」

「……」


「じゃあ、私はこれで帰ります。佐藤くん、ばいばい───なんて言うと思ったかこの野郎ッ!!」



一か八か、だった。