佐藤くんは甘くない




「……あれ、佐藤くん……ご飯は?」

「それは結城もだと思うけど」

「私は、腹痛で」

「その手に持ってるのはなに」

「八つ橋ですが」

「……」

「なんすかその眼は。お土産ですってば」

「腹痛の人が食べ物について考える暇、あると思ってんの? こんなとこ、先生に見つかったらどうすんの」

「……佐藤くんだって」

「俺はもう食べ終えたから」

「早くね」

「昼にあんなに食べておいて、食べられるわけないじゃん」

「……ソーデスカ」


はあ、と佐藤くんはため息をついて私の手を引いた。その手は、思ったよりも温かい。いや、私の手が冷たいだけかもしれないが。


「そんな濡れた髪で、何うろちょろしてんの。ほら、さっさと来て」


有無を言わせず、私の手を引き、佐藤くんが連れてきたのは誰もいない休憩室だった。そりゃそうだ、わざわざここまで来て休憩していくやつなんていないだろう。

手軽なソファーに腰を下ろした私。佐藤くんは何やら、すぐ近くの自販機で飲み物を購入しているらしかった。

喉が渇いてたのかなぁ、とそんな様子をぼけっと見ていたら、いきなり何かが飛び込んでくる。

慌てて、それをキャッチしてみてみると、ミルクティーだった。それも温かい。