佐藤くんは甘くない



そして、バスに乗り込み、目的地である旅館に着いた。


バスから下した荷物をせっせと運び、ひまりちゃんと同じ部屋に入ろうというところで、佐藤くんに出くわした。



佐藤くんもどうやら、運び途中だったのだろう。女子と男子は部屋が一階と二階で分かれているから、わざわざ二階まで運ぶのかぁ、随分重そうだなぁと思いながら佐藤くんに目をやる。



「重そうッスね、佐藤くん」

「……」

「佐藤くん?」


「ねえ、結城は、」



佐藤くんが、重々しい口を開いて、何かを言いかける。でも、続く言葉はなかった。




佐藤くんは苦虫をかみつぶした様な顔で、唇を噛みしめ、そのまま私の横を通り過ぎて行ってしまった。