「……結城には、感謝しないと」
「こはるちゃん?」
「……うん。今まで、あんまりいう機会なかったけど、俺がここまでやってこれたのって、結城のおかげ、だから」
ぼうっと、満天の星空を見上げながら俺は、今までのことを思い出さずにはいられない。
今思えば、あの時、呼び出したのが結城で良かったと思う。朝比奈さんの親友が、結城で本当に良かったと思う。
あんなお人よしは、世界中どこ探したって、きっといない。
俺にとっての結城は、多分、もう他のものとは替えが効かない、そんな存在だから。
「そっか、佐藤くんはこはるちゃんのこと大好きなんだねぇ」
「だっ……! べ、別にそんなんじゃ」
「違うの?」
「……………………嫌いじゃない」
ふいっと顔を逸らして、俺は苦し紛れに、そういった。そんな俺を、朝比奈さんは幼い子供をあやす母親のように優しい瞳で微笑むものだから、やっぱりどうやっても勝てないなぁと思ってしまう。
それでも、あいつを堂々と好きだと公言するのは、なんだか負けた気がして嫌だった。
そもそも、結城は俺のことをどう思ってるのかすら、いまだよく分からない。
きっと手のかかる弟を世話するような気持ちで接しているに違いないのだから。だったら、それは悔しい。まるで俺の一方通行みたいで。
「佐藤くんは、こはるちゃんの話をするとき、そうやって笑うんだ。また一つ、佐藤くんのことが知れたよ」
「……俺が?」
「うん。とっても、優しい笑み」
朝比奈さんは少しだけ身を傾けて、悪戯っ子みたいに舌を出して、にししと笑って見せる。
……そんな顔、してたのかな。



