思わず、ぽかんと口を開く。
朝比奈さんが? 俺に対して?
いつも俺や結城や瀬尾に分け隔てなく、ほんわかとした雰囲気で話しかけている朝比奈さんが、そんなことを思ってるだなんて思いもしなかった。緊張しているのはこっちだけで、俺だけがあたふたしているんだと。
「だっ、だから……私が意識していない間に、そっけない態度を取って、佐藤くんに、嫌われてるんじゃないかって、ずっと、」
「そんなわけない!」
はっと、自分の荒らげた声に我に返った。
見ると、朝比奈さんがいきなり血相を変えて、大声を出した俺があまりにも物珍しかったのか、ぱくぱく口を動かしながら、俺を見上げていた。
「そんなわけ……ない、から。心配しないで」
「あ、あ……うん」
「俺も、割と、心臓破裂しそう」
「えっはれ、破裂!?」
「……幻滅、した?」
俺がそう聞くと、朝比奈さんはへにゃあと頬を緩ませて笑い、華奢で壊れてしまいそうなほど頼りない手のひらをぎゅうっと胸の前で握りしめる。
「わたし、すごい勘違いしてたのかな」
「は?」
「わたしたち、おんなじだね」
「同じ?」
「そう。どっちも不器用で、伝えたいことがうまく口に出なくって。だから、おんなじ」
綿菓子のように甘い笑みを浮かべ、朝比奈さんは頬を赤らめながら首を傾ける。
「今日みたいに、佐藤くんが積極的になってくれるの、すごくうれしい。でも、きっとそうしたら私の心臓、壊れちゃう」
「……それは、俺もだけど」
「じゃあ、二人で、ちゃんと歩幅を合わせて……あるこう?今度は、一緒に。ちょっとずつ、佐藤くんのこといっぱい知りたいから」



