佐藤くんは甘くない



遅いな、と思いながら俺は何度目かになるため息を漏らした。

なんとか朝比奈さんとの仲を深めようと、二人が奮闘してくれているにも関わらず、なかなかあの微妙な距離を埋めることができないから。


……どうやって、話せばいいんだろう。


そんな取り留めのない悩みを聞いたら、結城はきっと馬鹿じゃないのかと一蹴しそうだ。もっと、うまいことやれる人だったら、こんなに苦労はしなかったのに。

朝比奈さんに告白してから、ますます意識することが多くなったと思う。


それは、以前にもまして。ふとした時も、朝比奈さんのことを考えているような気がするし、結城や瀬尾たちといるとき、まっさきに上がる名前は朝比奈さん。俺の日々からはどうしたって、朝比奈さんを抜くことができなくなっていく。


「……絶対、避けられてる……よな」

うわ。思わず口に出したら、ますますへこみそう。


普段あんなことしないから、いきなりなれなれしくして……ああもう、どうしよう。どうやって話せばいいんだろう。


「あの、」


無理だ。絶対無理。いったいどんな顔をして話せばいいんだ。


どうやって話を広げれば? そもそも朝比奈さんとは前にどんな話をしてたんだろう。こんなのでよく付き合えたな……俺……。


「あの!」


いきなり後ろから声を掛けられて、俺は情けなくわ、と声を上げてしまった。


後ろを振り返って───一瞬思考がフリーズ仕掛けた。ふわふわな茶色の髪と、とろけそうなほど優しげで、甘やかな栗色の瞳。その白い頬は、緊張からなのか羞恥からなのか、若干薄く赤い。