佐藤くんは甘くない



二人は、どうやらそれほどまで遠くに行っていなかったようだ。

他のクラスメイト達はもうずいぶん先まで歩いて行ってしまっているのだろう、人影はまったくなかった。


それは、ずっと先まで続いていた。


満天の星が、遥かずっとさきで煌めき、その地上では星の代わりに彩るように、足元がライトアップされ、続く道を照らしていた。ほう、と私は一瞬その綺麗な光景に目を奪われ息を飲む。

そして、その道の先で二人の影が見えて、私は思わずひまりちゃんの繋いだ手を引いて、死角になりそうな場所にしゃがみこんだ。


不思議そうな顔をするひまりちゃんに、少し待っててと告げた後、私はスマホを取り出して恭ちゃんにメールする。内容は、『何か適当に理由をつけて、一人でこっちまで来てほしい』という簡潔なもの。


すぐにメールを受け取った恭ちゃんは、一言二言佐藤くんと言葉を交わした後、こちらへやってくる。


そして、ちょうど曲がり角のところで、小声で呼びかけた。

「うわっ、死神かと思った」

第一声がそれか。


「ちょっとこっち。ほら、早く」

「は、は?」


ずるずると恭ちゃんをこちら側に引っ張り、とりあえず私たちと同じように座らせる。何が何やら分からない、というように恭ちゃんの目は白黒したままである。