そういって、ふいっと佐藤くんがそっぽを向いてしまう。その耳が真っ赤なのは相変らず佐藤くんだけれど。
私は撫でていた手を離して、まだ少し残っていた料理を食べようと佐藤くんからオムライスに視線を戻す。
「……なあ」
「ん?」
唐突に呼びかけられて、私は口にスプーンを入れたまま横を見る。
恭ちゃんは何か言いたそうに、口を開きそれから言いまどうように、視線を逸らす。その先にはいまだ顔を伏せたままの佐藤くんがいる。
恭ちゃんが何を言いたかったのは、結局分からなかった。
なぜなら、
「お客様、少々お静かにしていただけますでしょうか」
と、鬼のような笑顔で店長っぽい人が席にやってきてしまったから。
……いや、確かにあんなに騒ぎ立ててたらお店にも相当迷惑だっただろう。私たちは平謝りで何度か頭を下げ、そそくさと会計を済ませ、店内を後にした。



