「佐藤くん、もう少し頑張ってみましょうって」
「やだ、もうむり。死んじゃう」
「大丈夫ですよ」
私は、そのまま佐藤くんの頭をぽんぽんと優しく撫でながら、ね? と首を傾ける。佐藤くんは一瞬、迷いが生じたのか、うっとうめき声を漏らす。だけど、すぐに口を尖らせ、欲しいものを買ってもらえない子供のように拗ねた口調で、私を見上げる。
「朝比奈さん、絶対ひいてる」
「ひまりちゃんがそんな器の小さい子に見えますか?ひまりちゃんのほうも、ちょっとだけ戸惑ってるだけですって」
「うそだ」
「佐藤くんがひまりちゃんに寄り添おうって気持ち、きっと伝わってると思います。そのお返しをするのが二人ともちょっぴり不器用なだけだと思いますよ」
「……んん」
もう一度優しく撫で上げると、柔らかな黒髪が佐藤くんの頬にかかって、くすぐったそうに目を閉じる。
しばらく、そのまま撫でているとすっかり拗ねていた佐藤くんが目を開けて、ぶすっと不機嫌そうで、それでいて謝るタイミングを見計らう子供のように瞳をゆるがせる。
「ほんと……?」
「もちろん」
「結城も協力してくれる?」
「もちろんですよ」
「……………もうすこしがんばる」



