もぐもぐしながら、味わって食べる。なんせ、ひまりちゃんのあーんでもらったんだから、おいしくないわけがない。
私もお礼に、スプーンですくったオムライスをひまりちゃんの口に運んで、ふたりであーん大会が始まる。
そして、またもらった一口をもぐもぐしながら、佐藤くんのほうを向く。先ほどから佐藤くんがちらちら私たちのほうを向いていたことは調査済みである。
「おやおや、佐藤くんってば、もしかして焼きもちですかア?」
「ごほっ……!」
佐藤くんが吹き出す。
すかさず水の入ったコップを差し出す恭ちゃん。思わず拍手を送りたくなるような連係プレイだった。かくいう私も、吹き出しそうになったひまりちゃんに水を差しだしたのだが。そろそろこの二人の扱いにも慣れてくるのが、いいことなのか悪いことなのか。面白いからいいけど。
「スイマセンねぇ、私だけあーんさせていただいちゃって」
「べっ、別に……!」
「佐藤そんなにあーんしてほしいなら、俺が代わりにしてやるって」
「そういうのいらない」
「ひどい」
「まあまあ、ほら佐藤くん私に嫉妬してるからイライラしてるんだよ、恭ちゃん」
「なっ、してないし!」
「してないの?」
「誰がそんなの!」
「そうなんですかア。おやおや、佐藤くんはどうやらあーんされたくないみたいなんで、私一人だけあーんさせていただきましょうかねぇ。ひまりちゃん、もう一口」
「えっあ、」
ひまりちゃんが赤くなった顔のまま、はっと我に返ったようにパスタをくるくるフォークに巻きつけて、私の口まで持ってきてくれる。
当然私は見せつけるような、どや顔を佐藤くんに向けるわけだが。そして、あーんと口を開け、まさに私の口の中に入ろうというところで、フォークが止まる。



