佐藤くんは甘くない



作戦その三。

『ひまりちゃんにあーんしてもらう』


お昼時になり、私たちは各自で自由行動になっていたので、その辺の適当なお店に入り、結構な込み合いの中、運よくテーブル席に着くことができた。


私と恭ちゃん、佐藤くんとひまりちゃんのペアごとに向き合わせて席に座るとひまりちゃんは
お手洗いに行ってくる、と私にだけ小声で告げてそそくさと席を外した。

残された私たちは、ふう、と一息ついて顔を見合わせる。


ひとり、ものすごく死んだ顔で窓の外を見て、黄昏ている人物に

「佐藤くうん、まだ怒ってるんでしゅか?」

「うるさい。黙れ」

「いや、まさか自分の中で葛藤しているうちに朝比奈が消えて、代わりに知らんおっさんが立ってるなんて思いもしなかったんだよな、佐藤」

「その事情説明やめて、ホントに思い出しただけで死にそう」

「死にそうでちゅか?」

「うん、うっかり結城を道連れにしてしまいそう」

「うっかりがすぎる!!」

「まあまあ、お前らちょっと落ち着けや。……えっと、次の作戦はなんだっけ?」


私たちの間に入った恭ちゃんは、話題を切り替えようと私のほうを向く。


「ええっと、確かー……あーん?」

「いきなりどうした」

「いや、違うからね佐藤くん? 分かってるよね、君。分かってて誤魔化そうとしてるでしょ結城さん知ってるからね」

「いきなりガン飛ばすとか無理ゲ」

「飛ばすのはガンじゃなくて、愛だけどな!」

「うまい!座布団一枚!」

「ふっふっふ!」

「どや顔ウッザ」


はあ、と大きくため息をついて、頭を抱える佐藤くん。