佐藤くんは、そのままスタスタ何事もないように歩き去っていこうとしていたが、両手と両足の動きが同じだった。
「あの、佐藤くん」
私が呼びかけると、すでに普段の表情に戻ったらしい佐藤くんがあ? と不機嫌マックスのひっくい声で、振り返る。私は佐藤くんに駆け寄り、こそっと呟く。
「次の『ひまりちゃんとお手てつなぎ作戦』はどこでします?」
「お前絶対楽しんでるだろ」
「なぜばれた」
「何でばれないと思った。もうホントやめて。心臓に悪い。せめて、時間をおいてから……」
「この辺恋人も多いですし、きっと二人っきりにしたら雰囲気でいけると思うんですよねぇ」
「俺の話を聞いてる?」
「私的にですけど、二人が肩がぶつかるかぶつからないかくらいで歩いているときに、小指と小指がぶつかって~みたいなのが憧れですよねぇ」
「お前の憧れは聞いてないから」
「私たちは後ろから追尾してるんで、二人が手を繋いでるツーショットは任せてください!」
「もうやだ。助けて瀬尾」
涙目で恭ちゃんに助けを求めていた佐藤くんが、その実、私たちがいない時にお土産屋さんで隣に立つひまりちゃんに手を繋ぐか繋がないかの一斉一大の曲路に立っている間に、ひまりちゃんはふらりと別の場所に移動し、代わりに隣にやってきた知らないおじさんの手を繋いだことは、記憶に新しい。(激写したら、削除された)



