「辛かったら、言ってよ」
「言わなかったら?」
「怒る」
「おおう。それはこわいですねぇ、善処することにします」
「善処じゃなくて、絶対」
「佐藤くん、なんか過保護ですねぇ」
「あんた相手になれば、過保護にもなる」
「どういう意味だ」
「そのままの意味だけど」
「……佐藤ママって呼ぶぞ」
「殴るよ」
「すいませんでした」
前の人が一歩進む。
私はそれにつられて、前に進む。
隣から何か言いたげに口を開くのが横目で見て取れたが、私はあえて振り返らないことにした。
どうしたって、隣の芝生は青く見えてしまうものだから。



