「ったく、こちとら修学旅行楽しみすぎて、わくわくしていたせいで眠れなくて、睡眠不足だわ、窓あけっぱにしていたせいかちょっと風邪っぽいってのに」
「は?」
………………あ。
冗談めかして言ったつもりなのに、佐藤くんから返ってきた言葉は明らかに想像とは違った。佐藤くんなら、そんなの結城のせいじゃん、馬鹿じゃないのって返してくると思ったのに。
佐藤くんは、じっと私の顔を見やると、有無を言わさず顔を近づけてきた。
「そうなの?」
「え、いや、そのあはは、やだなァー風邪って言ってもそんな重症ってわけでもないし、」
「どっち」
「風邪って言われれば、そうですけど……で、でも!ひきはじめってだけなんで気を付けてれば、」
「うるさい」
「アッ、ハイ。スイマセン、黙ります」
こわかった。
佐藤くんは時々、無言の圧力で私を押しつぶそうとする。こええ。
佐藤くん、なんだか私に対して最近遠慮ってやつが欠けてきてる気がする。仮にも女の子に対してそんなくそ冷たい声出しますかね普通。私は女の子じゃないってか、うっ心が痛い!
じっと睨み付けてくる佐藤くんから視線を外すことも憚られ、私は顔を見上げたまま固まる。すると、何を思ったか、私の額に手を押し当てて、同じように自分のおでこにも手を当てる。



