「まあ、とりあえず落ち着けって。どうどう、どうどう。ほら、ちゃんと座れって」

「ヒヒーン!」


立ち上がった恭ちゃんが私の肩をなだめるようにぽんぽん叩きながら、私を席に着かせる。はっ、怒りのあまり恭ちゃんのボケに乗ってしまった……。


普段ならここでうるさい、とか言ってきそうな佐藤くんもさすがに悪態をつく立場もないと思ったのか、黙ったままだ。


そう、そもそも佐藤くんが、私たちをファミレスに誘った時点でおかしかったのだ。

寄り道とかあんまりしない佐藤くんが、わざわざ誘ったとき、なんとなく嫌な予感はしていたものの、まさか本当に的中するとは思ってもいなかった。


「本当に付き合ってるのか疑いたくなるレベルッスよ。佐藤くんは中学生ですか?中学生日記は中学校三年生までって教わらなかったんですか。今どきの中学生でももっとがっついてますよ」

「……う」

「佐藤、ピュアっつーか、へたれっつーか、考えすぎて行動できない融通の利かないタイプだもんな」

「……うぐっ」


私たちからちくちく刺され、佐藤くんはしゅんとした肩をますます落としてしまった。


その様子を見て、私は隣に座っている恭ちゃんのほうに目くばせする。さすが幼馴染、考えていることはすぐに伝わる。恭ちゃんが困ったようにくすりと笑って、佐藤くんのほうを見る。


……まあ、こうなることもなんとなくわかってはいたんだ。

佐藤くんがひまりちゃんにぐいぐい行くほうが、むしろ佐藤くんのことが心配になっていたにちがいない。