***
いつの間にか、雨が降っていたらしい。
そのことすら気が付かないまま、私はぼうっと鉛のように重い足を引きずりながら家に向かっていた。
……いまごろ、佐藤くんはどうしてるかな。
ちょっと心配だな、佐藤くんちゃんとうまく気持ちを伝えられているかな。
佐藤くん、いざというときすごく緊張しちゃうから、きっと顔真っ赤にして言ってるんだろうな。重要なところでかんじゃったり、してないかな。
ひまりちゃんは、なんて答えるんだろう。
でも、ひまりちゃんも佐藤くんに惹かれてる。だから、きっとだいじょうぶ。
その時だった。
ポケットに入れたスマホが震える。それが誰であるかなんて、想像がついてしまった。
今の状態で、電話になんて出れない。
私はその震えが止まるまで、待った。
ようやく止まって、取り出した後電源ボタンを押すと、画面にぽたぽた滴が落ちていく。表示は、不在着信が1件。私は、手に持ったスマホのボタンを押して耳に当てる。
『……ぁ、結城……?』



