「私は、佐藤くんのこと、ずっと友達だと思ってます。
だから、佐藤くんがもしも辛くなったら、いつでも私を頼ってください」
最後まで、佐藤くんの友達の私で、いられるように。
私は今できる精いっぱいの笑顔で、佐藤くんを送り出してあげたい。
今言っている言葉が、強がりだって言われても構わない。
その場限りの空しい偽善だと言われても構わない。
途方もない時間が私を苦しめ続けるとしても、この嘘が本当になる日まで、私は私の気持ちを隠し通すって決めたんだ。
最後の一発が、盛大に打ちあがる。それは名残惜しく、深淵のように暗い空を眩く照らしながら、やがて消えていく。
もう、終わりの時間だ。
私はぼやける視界の中で、ゆっくりとほほ笑む。
「ほら、佐藤くん。もう時間ですよ。……行ってください」
とん、と佐藤くんの背中を頼りない力で押す。佐藤くんは、そんな私をじっと見つめて何度か深呼吸をした後、
「……行ってくる」
そういって、緊張した面持ちで保健室を後にしてしまった。



