佐藤くんは甘くない



いろんな気持ちが吹き上がる。

手が勝手に、動く。


佐藤くんの震える手を握ってしまえば、視線を逸らさないで、今の私の気持ちを全部、伝えてしまえば───体が勝手に動いて、もう制御がききそうにない。


それで、私は。


私は、佐藤くんに。



「私は……っ」




私の声に、佐藤くんが振り返る。



───ドン!!


大きく、花火が打ちあがる。暗くて見えなかった、佐藤くんの表情が、花火の光でほんの数秒浮かぶ。そして、重ね合わせようとしていた手が、すんでで止まる。



佐藤くんは、ひとりぼっちを怖がる子供の様に、不安そうな顔をしていた。



その表情を見て、佐藤くんに気持ちを伝えろと囃し立てていた心拍音が、すうっと弱まっていく。