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あの後、私は腫れた目を冷やすから保健室に行くと告げて、恭ちゃんとは教室で別れた。
保健室について、ゆっくりドアを開けるとそこはもぬけの殻だった。たぶん、保健室の先生も文化祭の係で出払っているんだろう。
私は小さく失礼します、と告げて中に入る。
保健室独特の、薬品と消毒液のにおいが鼻を掠める。
少しだけ薄暗かったけれど、私は電気をつけることなく、備え付けの冷凍庫の氷をすぐ近くにあったビニール袋に入れて、水を流し込む。かしゃん、氷と氷の触れ合う音が静かな保健室に響く。
自分のポケットから取り出したハンカチを包みながら、カーテンで仕切られたベッドに移動する。
「……はあ」
ぎい、と鉄の軋む音。
ベッドに座った瞬間、だんだん体中に入れていた力が抜けて、私はそのまま横に倒れこむ。また、ぎしっとベッドがまた軋んだ。
目を閉じて、氷水を包み込んだハンカチを当てる。ひんやりと熱を持った瞳から熱が奪われていく。
「冷やし終わったら、実行委員の集まりに出て……それから、採点用紙を回収して……」
つらつらと、これからの予定を口ずさんでいくうち、だんだん体が重くなってそのまま深い眠りに引きずりこまれてしまった。



