佐藤くんは甘くない



佐藤くんが物凄い顔を顰める。

ふん、気にしたら終わりだ。私は佐藤くんの顔色なんでそっちのけで、


「なりきりましょう、佐藤くん」


ともう一度念を押す。


佐藤くんはため息をついて、仕方なくとでも言うように適当な口調で、


「なにに」

「漆黒の美少年にです」

「具体的に」

「セリフを読み上げながら、主人公になりきりましょう」

「死んでも嫌」

「嫌ですか」

「むしろお前が死ね」

「佐藤くん真顔でそういうコト言うのはやめましょう!放送事故ですよ!」


バンッと床を叩く私。

佐藤くんからの冷たい視線が鳴りやまない中、私は小さく舌打ち。


さすがにちょっと押しが弱かったか。

私は何気ない口調を装いながら、瀬尾の方を向く。


瀬尾はぽかんと首を傾げた後、私のこの行動の意味に気付いたのか、にやりと口元を釣り上げる。

さすが私の幼なじみ。伊達に何年も幼なじみしてないぜ。