佐藤くんはわざと言葉を遮られたことがよほど、腹が立ったのかむすっと口を結ぶ。突き刺さる視線から疑っていることがもろに伝わってくる。
でも、これ以上佐藤くんと一緒に居続けるわけには、いかなかった。
私はしゃがみこむ佐藤くんの腕を持ち上げて、無理やり立たせながら、
「ほら、佐藤くんもこんなところでじっとしてたらせっかくの文化祭が終わっちゃいます!」
「ちょ、ゆう、」
「こんな好感度上げるにはもってこいのイベントで、ひまりちゃんを誘わないなんて損ですよ、損!
ほらさっさと行った行った!」
何も言わせないよう、無理やり背中を押しやって教室から追い出した。
最後にぱたん、とドアを閉める。私ははああ、と今まで行き詰っていた分のため息を吐き出した。
その間もずっと、私のほうに視線があることはわかっていた。
「……何」
顔をあげて、横を見れば私の様子を細目で見下ろす恭ちゃんが、わざとらしい口調で、
「いやぁ?俺の時はもう仕事ないって言ってたくせに、まだ仕事するつもりとはよっぽど仕事が大好きなんだなぁ、ハルは。って思っただけ」
「……うっ」
「お前、嘘つくの昔からへたくそなんだよ。佐藤でもわかるぞ、今のは」
「……ごめん」
「はいはい」
ぽんぽん、と私の頭を恭ちゃんは軽くたたいて、すたすた窓側まで移動すると壁に沿うようにして座り込む。
さっきまで気が付かなかったけど、恭ちゃんは手に白いビニール袋を持っていた。通り過ぎたときに、その袋からかすかに香ってきた匂いは───
「何突っ立ってんだよ。お前の分も買ってきてやったんだから、さっさと座れ」
がさごそ袋の中から、たこ焼きを取り出していた恭ちゃんは自分の隣をぽんぽんたたいて、私を呼ぶ。



