ついに追いつめられてしまったギル。

困った顔で、白雪姫を見下ろす。


『ギル、これは命令よ』

『……はあ、こんなことに命令は使うものではありませんよ』


大きくため息をついて、頭を押さえる。その様子は、白雪姫の頑固さを知っているからなのか、それとも逆らえないからなのか、諦めたように彼はゆっくりと彼女の前に跪く。


そして、白雪姫の白魚のようにきれいな手を取って、そっとその甲に口づける。


『白雪』


それは、永遠の誓いだった。

彼女を見上げるギルは、まさしく姫を守る騎士そのもの。


『───守るよ。

 他の奴に守らせる隙も見せないくらい、守るよ』


『……』


『だから、隣にいること、許してくれる?』


白雪姫が、握られたその手をそっと握り返す。とろけるほどに甘い笑みを浮かべて、彼女は言うのだった。


『ええ、私のそばに、ずっといなさい。


 ───あなたは私の剣士なんですから』